6:タピオカ大行進

 

 この間、奥さんと、春日部市役所で県知事選の期日前投票に行った。

県知事選については、埼玉新聞の1面に毎日のように報道されている。少子高齢化、企業誘致、県内の南北格差(秩父地域の人口減少)と日ごとにテーマを変え、現状と課題、主要候補者のそれについての見解が掲載されている。近々の新聞の報道によると、やはり自民・公明が推す青島候補と立憲・国民・共産が推す大野候補が競り合っているようである。

 選挙公報(新聞と一緒に投函されたり駅前に置かれている各候補者の公約が書かれた広報誌)にも目を通すと、他の候補者と比べれば、先の有力候補者2人の方が心強い感がある。けれども、政策が正直なところ変わり映えしないような気がする。強いて言うなら、県庁建て替えについては意見が割れていて、青島氏は建て替えを、大野氏は反対し、その建て替え費用で他の施設修繕・建て替え(たとえば病院や児童自立支援施設等)に充てたいとの意向だったと思う。

 どの候補者に入れるのがベストなのか分からないけれども、「この人かな?」という方に僕は投票した。

 それにしても、国政選挙はテレビでも取り上げられるし、市町村レベルの選挙は自身に身近と感じるけれども、県議会や県知事といった県単位の選挙って自身の生活にどれだけ身近に関わっているのか正直ピンとこないものである。

 

 

 投票を済ませた後は、昼食をとるため、近くの商業施設ララガーデンに向かった。その途中で、いつの間にか、タピオカ店ができていることに気がついた。羽が描かれた窓ガラスから店内をみると、女の子たちでほとんど満席だった。昼食をタピオカで済ませるつもりなのか。ちょっと驚いた。

 原宿にタピオカランドが出来たりと、奥さんが「タピオカ飲みたい」と言い出すなど、東京から発信される若者文化の波が、着実に春日部にも流れ込んできている。ララガーデンに着くと、すぐ目の前に、タピオカのキッチンカーが止まっていた。こんなにタピオカと単純接触していると、どうしても、気になってしまう(なんか恋愛みたい)。

 そんなわけで、僕たちは昼食を済ませた後、ヤオコーに立ち寄って、冷凍タピオカと飲み物を買った。ヤオコーの冷凍タピオカは、量も多いし、断然お店で買うよりもお得でした。

 

3

 

 春日部にもタピオカが進行してきたことを知った日から2日後、僕は実家に帰る為に、大宮駅から京浜東北線に乗り換えた。大宮の駅前には、僕の知っている限り、4店ほどタピオカ屋があり、そのうち2店は店の前を通るたびに行列ができている。

 北浦和で男子高校生3人が乗車してきた。

「これからタピらね?」とその中の1人が言った。

「今日は嫌だよ。俺、昨日Lサイズ飲んだし、金がねぇよ」と隣の高校生が言った。

「俺、3日連続でタピオカ飲んでいるけど、タピろうぜ」と粘ってみせる。

「嫌だよ。さすがに飽きたよ」

 そんな問答を僕の目前で展開されていて、ちょっと面白かった。一方でタピオカの熱いブームも、太陽のように、静かに沈んで行っているような気がした。そして今回がそうであったように、沈んだタピオカブームは、また太陽が昇るように復活するような気がする。それが5年後か10年後かはわからないけれども。